そのひとつとして、2020-2025は「2025年までに全電力を再生可能エネルギー電源に切り替える」というゴールを掲げました。こうした各国共通の目標に対して、具体的なアクションを考えるのは、それぞれの国や拠点にいるSHE担当者たちです。
日本のSHEオフィス オフィサーである江田さんは、はじめにそのゴールを聞いたとき「石油由来のエネルギーに頼っている日本では、2025年までの目標達成は難しいかもしれないと思った」といいます。
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、バイオマスや水素など、自然を利用したエネルギーを指します。石炭や石油を燃やさずに生み出せるため、温室効果ガスを排出することがありません。
社内の全電力をそうしたエネルギーに切り替えるため、どの ように進めていけばいいかと思案していたところ、日本法人が入居している品川シーズンテラスビルにて、2022年5月から再生可能エネルギーの提供が始まるという情報が入ってきました。
「日本にもこういう波が来ているんだと、ポジティブな驚きがありました。コストはやや上がるものの、想定の範囲内。環境への優しさには代えられません。すぐに詳しいお話をうかがって、経営会議にかけ、満場一致で承認がおりました。ロシュグループを創業した方々は、昔から社会貢献やサステナビリティーに関心が強く、経営メンバーにもその意識がしっかりと受け継がれているのです」(江田さん)
かくしてロシュ日本法人の品川オフィスでは、国内の他拠点に先がけて、再生可能エネルギー電源への切り替えが果たされました。
そもそもロシュが品川シーズンテラスに移転してきたのは、2017年のこと。ロシュ・グローバル(本部)より、フロンや代替フロンを使わないオフィスをつくるようにと通達があったため、適したビルを探し、ようやく見つけた物件だったのです。
「近隣エリアで一棟借りしていたそれまでのオフィスビルは、昔ながらの建物で、ロシュ・グローバルの基準に適合しない物件でした。そのビルでフロンや代替フロンを排除しようとすると、すべての冷暖房設備を入れ替えるなどの大がかりな工事が必要になり、現実的ではありません。そこで、いっそのこと移転を視野に入れようと、よい物件を探しはじめたのです」(日本法人SHEオフィス・樋浦さん)
旧オフィス周辺でエリアを絞ったとはいえ、要件を満たすビルは2つしか見つからず、そのうちのひとつが品川シーズンテラスでした。自然光や風を取り込む外部吹き抜け空間や、昼間に蓄積された建物内の残熱を夜間に排出するナイトパージなど、自然エネルギーの活用に意欲的な物件です。
「品川シーズンテラスは、地下に水再生施設が入っており、そこで発生する熱や冷気を使ってビル内の空調設備を動かしています。さらに、専用部分のエアコンに、ビルと同じく冷温水で動くタイプの製品を選ぶことができました。『環境に配慮したオフィスづくり』という明確な目標があったため、その分予算は上乗せとなりましたが、そこは注力すべきポイントだったのです」(樋浦さん)
江田さんも樋浦さんも「今後は、品川オフィスでの事例を国内の他拠点に活かしていきたい」と、口をそろえて語ります。各地に8つほどある国内拠点のすべては難しくても、品川オフィスと同等に環境配慮が行き届いたオフィスに少しずつでも近づけていきたいところです。
「そのためには、社内だけでなく社外にも、SHEの目指すゴールや活動についてアピールしなければならないと考えています。そうすれば、なにかサステナブルな取り組みが生まれそうなとき、まずロシュに声をかけてみようと思っていただける。そうして輪を広げていけたらいいですね」(樋浦さん)
再生可能エネルギー切り替えの目標達成も、どうやら、思っていたほど遠くはなさそうです。江田さんは「我々のアクティビティも含め、日本社会がどれだけ環境に注力できるかにかかっているとはいえ、なんとなく光が見えてきた」と語ります。
「世界の主要企業のサステナビリティに対する取り組みを評価する『ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス』において、ロシュは10年以上、ヘルスケア分野のトップ3にランクインしているんですね。世界に先がけてこの分野に取り組んできたからこそ、私たちは今後もリードをとっていく立場だと思っています。そのために、小さな見直しや変革を重ねていくところから、目標実現に向けて動き続けていきたいです」(江田さん)
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