社員が心身ともに健康でいられるよう、ロシュには「Livewell」という取り組みがあります。80か国の140を超えるロシュの拠点が、様々な活動を通して社員の健康をサポートする取り組みです。身体の健康、心の健康など、グローバルが設定したテーマに基づいて、それぞれの国や拠点が活動を展開しています。どのように活動を広げていくかはそれぞれの国次第。日本では、SHEオフィス※¹がその役割を担っています。
運動による健康な身体づくりを促したり、がん検診受診やメンタルケアを推進するなど、日本のLivewellでどのようなことがなされ、これからどんな展開を考えているのか、SHEオフィスの佐竹さんに伺いました。
※1 ロシュグループでは、「SHE=安全(Safety&Security)・健康(Health)・環境保護(Environmental Protection)」を推進するため、グローバルで中長期的ゴールを設定しています。日本ではSHEオフィスを設け、目標達成に向けてさまざまな取り組みを行っています。
――まずは改めて、Livewellという取り組みについて教えてください。
ロシュでLivewell活動が生まれたのは、2013年のことです。サステナビリティやウェルビーイングへの意識が高まるなかで、社員全員が健康な生活や人生を送るためのサポートとして始まりました。日本でも、昨今は「健康経営」といった言葉がみられるようになり、「社員の健康を大切にすることが会社の成長につながる」という意識の強まりを感じます。
Livewellの柱は、大きく分けて「健康的なライフスタイルを身に着けるための教育提供」「健康を阻害するリスク要因への取り組み」「心身の健康要因への取り組み」の3つです。この柱に沿って、毎年グローバルからテーマが決められ、各国のオフィスで具体的な取り組みを考えてきました。基本的には9月最終週を「Wellbeing Week」と称してイベントを開催していますが、2022年は一年を通して継続的に活動するという試みから、6月/9月/11月に「Live Well Days」を設けました。
このようにグローバルで生まれた活動やテーマがすぐに全世界に行き渡り、各国でアイディアを出しながらも一体感を持って進めていけるのは、ロシュが持つ大きな特長のひとつです。
――佐竹さんは普段どのような業務をしていて、日本でのLivewellにどう関わってきたのでしょうか。
私はロシュに入社して10数年、ずっとバックオフィスで社員の健康管理業務に携わってきました。定期健康診断の受診管理や安全衛生管理、社員の各種ワクチン接種、メンタルヘルスケア面談のアレンジなど、業務はさまざまです。そのうちにグローバルでLivewellが生まれ、「社員に寄り添う仕事の延長線上ということで、チャレンジしてみないか?」と声をかけてもらい、担当するようになりました。
――日本のLivewell活動で、これまで評判がよかったのはどんな取り組みですか?
2014年に子宮頸がん検査の受診を啓発したイベントは、とてもいい反応がありました。若年層の罹患率が高く、近ごろはさまざまな場で取り上げられることの多いテーマですが、ロシュは検査薬などを扱う会社として、以前から力を入れています。その年は、検査によってがんを早期発見した方に実体験をお話しいただきました。リアルな経験からくる検査の重要性は、参加者にも強く刺さったようです。とてもよいお話だったため、翌年の全社員が参加するキックオフ・ミーティングで講演いただくことになりました。
また、2015年、2016年には「ヘルシーリーグ」と題して、有志のチームで参加する運動大会を開催しています。2017年は「Healthy walk rally」に変化を遂げ、消費カロリーを距離に換算した分、架空の日本列島をチームの駒が横断し、早くGoalに到達したチームが優勝、というイベントを実施しました。毎年イベントを催すなかで、どうしても企画が社員数の多い品川オフィスベースに偏ってしまい、全国の拠点の社員が参加しづらくなってしまうきらいがありました。どこからでも楽しめて、なおかつ健康につながるアイディアを模索して生まれたのが、このヘルシーリーグです。
――どんなイベントなのでしょうか?
ウォーキングや水泳、野球、ヨガ・ピラティスなどさまざまな運動に消費カロリーなどからポイントを付け、取り組んだ分だけチームにポイントを加算していきます。「このスポーツには得点が入らないの?」などと相談を受けて、種目を随時追加したり……といった動きがあったのもうれしかったですし、みなさん盛り上がってくれました。数ヶ月のイベント期間が終わったあとは、表彰式も実施しました。ただ、コロナ禍以降は、社員皆で集まるイベントがなかなか難しくなってしまいましたが……。
――では、ここ数年はどのような取り組みをしてきたのですか?
やはり、イベントはオンラインが中心になりました。2022年の6月は、壁にぶつかったとき自分なりの解決ができるよう心を強くする「レジリエンス」というテーマで、社員の体験談を募集しましたね。社員の皆が困難を乗り越えるためにした経験や、心の支えにしている考え方や気持ち、格言などを共有し合いました。ただ、オンラインではとくに、忙しいなかで時間を割いて参加してもらうのは簡単なことではありません。取り組みを推進するうえでも、なるべく多くの社員が参加できるように、さまざまな切り口を用意することは心掛けています。
――たとえば、どのような切り口のイベントを用意しているのでしょうか。
「健康」を広い意味でとらえると、切り口は本当にたくさんあります。防災や介護にまつわるイベント、癒しをもたらすプラネタリウム、アンガーマネジメントについての書籍配布など……。また、脳年齢や肌年齢の測定機器を社内に設置したこともありました。面白かったのは「お弁当グランプリ」ですね。健康的な自炊を促すために、ご自身のお弁当写真をエントリーしてもらい、栄養バランスや見た目の美しさなどの点で社員に投票してもらいました。
ロシュにはエンジニアやサイエンティスト、営業、内勤といった幅広い職種の社員がいて、それぞれに働き方も違います。だからこそ、それぞれの社員が共通して関心を持ち、一体感をもって参加してもらえるよう、活動内容には工夫を凝らしています。
――グローバルでの取り組みということで、各国でアイディアをシェアすることもあるのでしょうか。
数年前にグローバル本社から紹介された脳トレアプリは、とても面白かったので日本でも社員に共有しました。空間把握力や認知能力を鍛えるゲームが、スマホでできるものです。他国のよいアイディアは、そうしたアプリやツールの形で共有されることが多く、手軽に導入しやすいので助かっています。
――健康にまつわる活動を進めていくなかで、ロシュならではの空気を感じるところはありますか?
ロシュはヘルスケアカンパニーですので、「健康」や「未病」は企業戦略としても欠かせないキーワードです。人々のより健やかな人生に貢献する会社だからこそ、そこで働く我々も自分の健康を意識しなくてはいけない、といった気持ちがあります。その気持ちは一人ひとりの社員にあるものですが、忙しさのあまりおろ そかになってしまう場面は少なくありません。そんなときに改めて健康の重要性を働きかけていくのが、私たちSHEオフィスやLivewellチームの役割だと考えています。
――佐竹さんは、この仕事のどんな部分にやりがいを感じていますか。
Livewellの活動に興味を持って参加してくれたり、心身ともに元気に職場に復帰した社員の姿を見ると、とてもうれしく感じますね。じつは私自身、小さなころから病気がちで入退院を繰り返してきました。いまは回復していますが、病気で苦しい経験もしているからこそ、いま健康面でつらい思いをしている社員の気持ちにも少しは寄り添えると考えています。
――最後に、今後の目標や課題を教えてください。
身体の病気も心の病気も、早期発見がカギです。とにかく早い段階で不調のサインに気づいてもらえるような取り組みに、今後も力を入れていきたいと考えています。たとえば、最近のロシュはコロナ禍での外出控えやテレワークによる運動不足などもあってか、定期健診での有所見率※²がやや高めです。しっかり精密検査を受けてもらったり、指摘を受けた数値を改善してもらったりすることで、社員の健康は守られていくはずです。そのためにも 、誰もが参加しやすく楽しめるイベントなどでの啓発活動を通じて、なんとか状況をよくしていきたいです。
※² 一次健診の結果、「要観察・要精検・要治療・治療中」と判定された人の割合
また、2016年度より経産省が「健康経営優良法人」の認定制度を始めました。それに関連して東京薬業健康保険組合と健康保険組合連合会東京連合会が共同で実施している「企業宣言」では、健康活動に取り組む企業をさまざまな基準で採点しており、ロシュは2020年に銀の認定を取得しています。Livewellも含め、さらに長期的な視野でこうした活動を重ねていく体制が構築できれば、次は金の認定も狙えるはずだと思っています。外部の視線もよいきっかけにしながら、活動を盛り上げていければと考えています。
SHEオフィスの環境保護(Environmental Protection)への取り組みについては こちら
社員の健康と福利厚生に関する、ロシュの全世界の取り組み例
ジムとスポーツクラブ
ヨガのクラス
栄養相談、禁煙相談、コレステロールなどの代謝相談、高血圧相談、アレルギー相談、睡眠障害相談などを行う出張診療所
館内でのマッサージ
心理的、社会的、経済的、法律的なカウンセリング
レジリエンスに関するコース
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健康に関する講義
社内食堂/カフェテリア/ラウンジ
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フレックス勤務制度
テレワーク制度
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