検体測定室とスマートフォンアプリとの間のQRコード連携と それを活用した生活習慣病の早期受診勧奨システムについて

検体測定室連携協議会の支援の下、薬局を中心に全国約2,000か所に設置されている検体測定室にて測定された検査値情報を、QRコードを用いてスマートフォンとの間でデータ連携を実現するアップデートがPHRアプリ「MySOS」(株式会社アルムが開発)にて行われます。このデータ連携機能は、ウエルシア薬局株式会社などの運営する薬局・ドラッグストアの検体測定室に設置されているPOC生化学分析装置のうち、アボットのアフィニオン2ならびにロシュ・ダイアグノスティックス株式会社のコバス b 101及びb 101 プラスにおいて実現されました。

PHRアプリ「MySOS」はご自身や家族の健康・医療記録を行い、受診が必要な際にスムーズなサポートを行うアプリです。PHRを用いた日々の健康管理、救急時の応急手当や一次救命処置ガイド、救援依頼、医療関係者への情報伝達やご家族への緊急連絡をサポートします。本連携により、検体測定室で測定した血液検査の情報も一元的に管理できるようになりました。さらに「MySOS」からは近隣の医療機関を検索でき、受診が必要な場合に医療機関へ検査値などの情報提供をQRコードにより行うことが可能です。これらにより、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の早期発見と早期受診がよりスムーズに行われるようになることが期待されます。

本プロジェクトは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の課題の一つである「統合型ヘルスケアシステムの構築」(プログラムディレクター:永井良三 自治医科大学学長)の研究開発計画の一環として実施されています。

背景・目的

潜在患者も含めたわが国の糖尿病人口は約1,000万人に達しており、その対策は急務となっています。また糖尿病や脂質異常症も含め、動脈硬化性疾患の高リスク者の早期発見と重症化予防については、2018年に脳卒中・循環器病対策基本法が定められ、大きな社会課題として認識されています。初期には自覚症状に乏しい生活習慣病の早期発見のためには血液検査が特に重要です。

このような中、比較的最近、技術革新により登場してきた微量血液検査装置を活用し、糖尿病や脂質異常症の早期発見につながる簡易スクリーニングを、薬局-医療機関間の地域医療連携として行っているのが検体測定室です。検体測定室では、指先の自己穿刺により得られる、ごく微量の血液からHbA1cやLDLコレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロール等の値を測定し、生活習慣病相当が疑われれば連携医療機関を紹介しています。HbA1cとは、赤血球中のHb(ヘモグロビン)に糖分がどのくらい付着しているかを見たもので、過去1-2ヶ月の平均血糖値を反映する検査項目で糖尿病の早期発見に有用です。

本取り組みでは、街の薬局店頭に最新の医療機器を設置し、指先等から採取した全血を検体として使用し、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の早期発見のためのスクリーニング検査の機会を提供すること、さらに、異常値が出た場合には連携医療機関へ受診勧奨を行うことにより、最終的には我が国の生活習慣病や動脈硬化性疾患全体を減らすことを目指しています。

近年、食事や運動などの生活習慣を改善し行動変容を促すしくみとして、PHRと呼ばれる、個人の活動量や体重などの健康指標を、スマートフォンを用いて年余に渡り管理し健康増進につなげることができるスマートフォンアプリが普及してきました。このような中で、今回の開発では、アボットのアフィニオン2ならびにロシュ・ダイアグノスティックス株式会社のコバス b 101及びb 101 プラスと、株式会社アルムの開発するPHRアプリ「MySOS」との間で、測定検査データのQRコード連携が実現しました。さらに、MySOSからは近隣の医療機関を検索できるだけでなく、受診が必要な場合に医療機関へ検査値などの情報提供をQRコードにより行うことが可能です。

検体測定室連携協議会(執行委員長:矢作直也(自治医科大学内科学講座内分泌代謝学部門教授))では、セルフメディケーションの推進を目指し、全国の検体測定室の運営支援や精度管理を担うとともに、ホームページ等を通じた広報活動に取り組んでいます。


QRコード連携した血液検査の結果データのアプリへの連携イメージ

MySOSを起点とする医療機関検索と受診サポートのイメージ

今後の展望

本プロジェクトは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の課題の一つである「統合型ヘルスケアシステムの構築」(プログラムディレクター:永井良三 自治医科大学学長)の研究開発計画の一環として実施されています。PHRと医療データベース間のデータ連携やAIによる問診システム等の開発も検討されており、今後、プライマリーケア分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進が期待されます。

用語解説

1) 検体測定室とは
2014年3月31日、厚生労働省より臨床検査技師法に基づく告示の改正が公布され、自ら採取した検体について診療の用に供さない生化学的検査を行う施設が新たに認められることになりました。常勤の薬剤師・看護師・臨床検査技師・医師が運営責任者となるなどの要件を満たす施設が厚生労働省に届け出ることで認可され、薬局を中心に現在、開設が進められており、2023年12月現在、全国に1,852か所、設置されています。

2) QRコード連携とは
QRコード(マトリックス型二次元コード)は、ホームページのURL情報の伝達や電子チケット、電子決済などに活用が広がりつつありますが、検査データの伝達にも応用可能です。各指先検査装置からの結果表に表示されているQRコードをスマートフォン側で読み込むことで、アプリに測定結果を取り込むことができます。

3) POC生化学分析装置とは
POCT(Point of Care Testing)とは、「臨床現場即時検査」とも言い、被検者の傍らで医療従事者(医師や看護師等)自らが行う簡便な検査のことを指します。POC生化学分析装置とは、その中で薬局等における検体測定室にて実施可能な生化学検査項目(特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成 19 年厚生労働省令第 157 号)第1条第1項各号に掲げる項目の範囲内)を測定できる装置を言います。

4) PHRアプリとは
PHRとは、Personal Health Record(パーソナルヘルスレコード)の略称で、個人の健康・医療・介護に関する情報をさしています。これらの情報を自分自身で管理するためのツールがPHRアプリになります。PHRアプリに保存したデータをご自身の同意の下、医療機関等とデータ共有することで、より適切な医療サービスを受ける機会が増えることにつながります。


本件のお問い合わせ先

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門
教授 矢作 直也(やはぎ なおや)
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺 3311-1
TEL: 0285-58-7355, FAX: 0285-44-8143



自治医科大学・大学事務部・研究支援課
TEL: 0285-58-7550 FAX: 0285-40-8303


株式会社プレシジョン
広報部


株式会社アルム
MySOSプロダクト企画


アボット ダイアグノスティクス メディカル株式会社
広報部門


ウエルシア薬局株式会社
広報部 


検体測定室連携協議会
〒101-0032 東京都千代田区岩本町一丁目-8-15
イトーピア岩本町一丁目ビル4階
TEL: 03-5833-7045(代表)


ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
広報(報道関係者向け)

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