ロシュグループ/診断薬事業部門 2020年度第3四半期業績のお知らせ

本資料はロシュ・ダイアグノスティックスの親会社であるF.ホフマン・ラ・ロシュ社が2020年10月15日(スイス現地時間)に発表した英文プレスリリースを一部抜粋した翻訳版です。この資料の正式言語は英語であり、表現や内容については英語の原文が優先されます。(記述される製品には日本未発売の製品も含まれています)

原文は下記URLよりご参照ください。

*日本国内では、ダイアベティス・ケア事業(血糖測定関連事業)は、ロシュDCジャパン株式会社が担当しています。

2020年10月15日バーゼル発

  • ロシュ グループの2020年1-9月の累計売上は、恒常為替レートでは1%のプラス成長。スイス フランの主要通貨に対する高騰の影響で、スイス フラン換算では5%のマイナス成長

  • COVID-19パンデミックの影響:第1四半期の大幅な成長(+7%)、第2四半期のCOVID-19関連による減少(-4%)に続き、第3四半期では、新薬およびCOVID-19関連検査薬の継続的な力強い売上に支えられ、売上は安定(+1%)

  • 診断薬事業部門の売上は9%の成長。主にCOVID-19関連検査の伸びによるところが大きい

  • 診断薬事業部門の第3四半期の主な発売製品(米国):ハーセプチン治療の有効性を判断するVentana HER2 Dual ISH DNA Probe Cocktail assay、移植患者のEB(Epstein-Barr)ウイルス感染を測定するcobas EBV テストならびにBKウイルス感染を測定するcobas BKV テスト、cobas HIV-1/HIV-2定性検査、Elecsys HIV Duo 免疫検査、子宮頸がんスクリーニングにおいて臨床医をサポートするCINtec PLUS Cytology テストの適応拡大

*特に記載の無い限り、この書類におけるすべての成長率は恒常為替レート(CER)で計算されています(CER:2019年の平均値)

診断薬事業部門の売上は、第3四半期の18%増という力強い成長が大きな要因となり、1-9月累計では9%増の97億スイスフランとなりました。第1四半期の5%成長の後、パンデミックの影響を受け、第2四半期は2%に減速しました。全体的に好調な売上の伸びは、主に業界をリードするCOVID-19検査薬の新製品ポートフォリオによるものです。モレキュラー・ダイアグノスティックスは、主にCOVID-19用PCR検査が牽引し、77%増となりました。今年開発されたSARS-CoV-2用検査ソリューションの売上は、COVID-19の影響で減少した通常検査製品の売り上げを明らかに上回りました。第3四半期に、新しくSARS-CoV-2抗原迅速検査を含む製品が発売されたことにより、COVID-19検査の世界的リーディング・サプライヤーとしてのロシュの地位がさらに強化されました。

各地域の成長率は、北米: +22%、欧州・中東・アフリカ(EMEA): +9%、ラテンアメリカ: +12%、日本: +5%でした。アジア太平洋地域は中国のCOVID-19パンデミックの影響が大きく4%のマイナス成長となっています。ロシュ製品の需要は第2四半期以降、すべての地域でCOVID-19の影響を受けています。定期的な検診が劇的に減少しているのに対し、緊急検査とSARS-CoV-2検査は目覚ましく増加しています。

私たちはCOVID-19パンデミック発生初期から、患者に必要な検査・治療・ケアを迅速かつ安全に提供するために、医療提供者・検査機関・公的機関などと提携しています。

9月にElecsys Anti-SARS-CoV-2 S抗体検査がCEマーク各国で発売されました。ロシュは米国FDAに同診断薬の緊急使用許可(EUA)を申請しています。この診断薬はスパイクタンパクに対する抗体を標的としており、SARS-CoV-2に感染した人の抗体を定量的に測定して、ワクチン誘発性免疫応答の特徴付けに重要な役割を果たします。現在開発が進められているワクチンの多くは、スパイクタンパクに対する抗体反応を誘導することを目的としています。

同月、ロシュはcobas 6800/8800システム用のcobas SARS-CoV-2 & Influenza A/B テストについて、FDAからEUAを取得しました。この検査は呼吸器ウイルス感染症が疑われる患者を対象に医療従事者が実施するもので、SARS-CoV-2・インフルエンザA・インフルエンザBを同時かつ定性的に検出し、鑑別することを目的としています。この診断薬もCEマーク各国で入手可能となっています。

また同月、緊急・救急医療向けに20分で測定可能なcobas Liat System用cobas SARS CoV-2 & Influenza A/B テストについても、FDAからEUAを取得しています。

さらにロシュは、SARS-CoV-2 Rapid抗原検査をCEマーク各国で販売を開始し、FDAにEUA申請を行う予定です。SARS-CoV-2 Rapid抗原検査は、有症状者を対象としたポイント・オブ・ケア用途を想定しています。この検査は通常15分で実施可能で、医療従事者はウイルス感染が疑われる人のSARS-CoV-2感染の有無を特定できます。さらに、SARS-CoV-2 に感染した患者やハイリスク環境にいる人の初期スクリーニング検査としても有用と考えられています。

ロシュはまた、SARS-CoV-2感染の診断補助として、多検体処理可能なSARS-CoV-2抗原検査の上市を予定しています。2020年末までにCEマーク各国で販売開始することを目指しており、FDAへEUA申請する予定です。この検査は医療従事者によって、COVID-19の兆候や症状を有する患者や、SARS-CoV-2への暴露が確認または疑われる人に対して行われます。

ロシュの開発したSARS-CoV-2検査ポートフォリオは、従来の救命救急関連診断項目と併せ、COVID-19パンデミック下の患者管理をサポートする重要な要素となっています。ロシュはこれまでに検査全体の生産量を通常時の四倍に増加させ、さらにPCR検査の生産能力を今後一年間継続して拡大していくために、多額の資金を投入しています。この投資により、米国および欧州において1000人以上の新規雇用を創出することが期待されています。

2020年1-9月に診断薬事業部門が上市したCOVID-19関連製品の概要

COVID-19 ポートフォリオの拡充と並行して、ロシュは乳がんにおける HER2 バイオマーカーの検出およびハーセプチン療法のコンパニオン診断薬として、Ventana HER2 Dual ISH DNA Probe Cocktail アッセイの米国 FDA 承認(approval)を取得しました。HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)は、乳がん患者で発見される場合がある重要なバイオマーカーです。HER2 の検出と阻害によって、侵襲性の高い乳がん制御はより効果的なものとなります。このアッセイは即日で完了するよう設計されており、臨床医は他の一般的なHER2の検査法よりも迅速に結果を得られます。また診断には光学顕微鏡を使用し、蛍光顕微鏡は必要ありません。

FDAはまた、国内初のEB(Epstein-Barr)ウイルスDNAの定量的体外診断検査であるcobas EBV テストを認可しました。この検査は、米国内の各検査室で一貫した結果報告を目標とした世界保健機関(WHO)の基準を満たしているため、異なる病院や検査室間での結果を比較することができます。EBウイルスDNAのモニタリングは移植患者のがんなど、致命的な疾患の進行を防ぐのに貢献します。

ロシュはまた、移植患者により良い医療を提供するための検査である、cobas6800/8800システム用のBKウイルス定量的検査に対するFDA承認を取得しました。検査結果の標準化と品質向上を通じて、医師は移植患者のBKウイルスによる合併症リスク評価し、効果的な治療オプションの選択をサポートします。

8月FDAはcobas 6800/8800全自動システム用のcobas HIV-1/HIV-2定性検査を承認しました。この検査1回で、HIVの診断ならびにHIV-1とHIV-2の判別が可能になりました。

2020年4月のFDA承認を受けて、9月に米国でElecsys HIV Duo免疫検査を発売しました。本検査は、HIV p24抗原(ウイルス)と抗HIV抗体(免疫反応により作られる)を別々に測定することで、既存の方法よりも早期に急性のHIV感染を検出することができます。今回の承認により、cobas e 801システムを使用した感染症関連の検査群は強固かつ包括的なものとなり、感染症領域における米国市場への総合的な価値提供に向けて大きく前進しました。

さらにロシュは9月、子宮頸がん検診で高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)陽性と判定された女性を対象とした、バイオマーカー技術に基づく初のトリアージ検査CINtec PLUS Cytologyの適応拡大に関して、FDAの承認を取得しました。この検査は、どの女性が迅速なフォローアップ検査を受けることが有益かに関して、臨床的な判断をサポートします。検査室では、まず自動化・ハイスループットのcobas 6800/8800システム上でcobas HPV検査を実施し、陽性結果となった患者をCINtec PLUS Cytologyによってトリアージすることができます。

診断薬事業部門

2020年最初の9ヶ月間では、COVID-19関連の検査と緊急検査が大幅に増加した一方で、健康診断や診察予約の継続的な減少または遅延により、通常検査は減少しました。そのような状況下でも、ロシュの広範囲にわたる多様な検査薬ポートフォリオと全世界に設置された多数の機器によって、高い売上成長を遂げました。

今年、私たちはCOVID-19検査に関連する製品(試薬および消耗品)の生産能力を大幅に増強させました。対象となったのはCOVID-19感染症対策に用いられる、すべてのロシュ製品です。

セントラライズド/ポイント・オブ・ケア ソリューション1の売上は7%減、免疫診断薬ビジネスは8%減と、COVID-19が世界中の通常検査に与えたネガティブな影響に直撃された形となりました。COVID-19に関連するElecsys Anti-SARS-CoV-2 テスト・Elecsys IL-6 テスト・SARS-CoV-2 Rapid抗原検査やCustom Biotechなどの製品により、COVID-19のインパクトは部分的に緩和されています。

モレキュラー・ダイアグノスティックス2の売上77%の成長で、基幹ビジネスである遺伝子検査事業の88%のプラスに支えられる結果となりました。大幅なプラス成長の要因は、SARS-CoV-2を中心としたウイルス関連・分子/遺伝子標的を検出する定量PCR・遺伝物質を単離する核酸の精製抽出・機器システム・インフルエンザPOCの5製品群でした。

ダイアべティス・ケア3の売上は、持続血糖測定装置(CGM)への移行が継続し、血糖自己測定器市場の縮小に伴ってマイナス2%の成長となりました。この領域もCOVID-19パンデミックの影響を受けました。EMEA地域は深刻な減少が、ドイツ・イギリス・イタリアを中心に報告されています。Accu-Chek SugarViewやmySugrなど、デジタル疾病管理ソリューションの発売が続いたことは明るいニュースでした。

ティッシュー・ダイアグノスティックス4の売上は、アドバンスト・ステイニング製品(AS)、機器システム、コンパニオン診断が牽引し、5%のプラス成長となりましたが、COVID-19パンデミックの影響は回避できませんでした。

*1:セントラライズド/ポイント・オブ・ケア ソリューション:免疫・生化学検査、血液凝固検査、
ポイント・オブ・ケア・テスティング(POCT) 
*2:モレキュラー・ダイアグノスティックス:遺伝子検査用試薬・機器
*3:ダイアべティス・ケア: 血糖測定関連事業
*4:ティッシュー・ダイアグノスティックス: 病理学的検査用試薬・機器

本件のお問い合わせ先

広報(報道関係者向け)

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