「お互いを助け合う」カルチャーがもたらした、育児と外勤を両立する選択肢

育児と仕事を両立するには、働き方や家族との家事分担など、考えなければならないことがたくさんあります。自身やパートナーの出産をきっかけに、職種や勤務時間を変える社員も少なくありません。

ロシュでは社員から上がった「子育てと外勤が両立しにくい」という声を受けて、2023年4月から新たな働き方のトライアルをはじめています。その取り組みを主導したフィールドサイエンティストの結城さんと、営業を務めながらパートナーと育児を分担する小笠さんに、お話を聞きました。

自分のキャリアを大切に思う気持ちは、男性も女性も同じ

――まず、お二人のお仕事内容を教えてください。

 結城:私は仙台オフィスで、お客様が導入した医療機器をセッティングしたり、データ活用のご相談を受けたりする「フィールドサイエンティスト」をしています。病院への訪問やお呼び出しの対応など、外勤も多い職種です。7年前に入社してから、10歳と3歳になる子どもを育てながら、この仕事を続けてきました。

 小笠:私は、病院の臨床検査技師や医師とやりとりをするDMR(臨床検査薬情報担当者)です。近ごろは検査薬や機器を導入するだけにとどまらず、お客様の業務改善を目指して、検査室のコンサルティングを含む提案なども担当しています。子どもは9歳になりました。

 

――子育てをしながら、日ごろどんなスケジュールでお仕事をされていますか。

 結城:フレックス制度を活用しているため、下の子を保育園に送ってから9時前後に出社し、午前中はだいたい内勤。午後からは、アポイントをとっているお客様を回って、早ければ17時に退勤します。お迎えは19時です。やむを得ない対応などで帰りが遅くなる場合は、共働きの夫にお迎えを頼んでいます。

 小笠:私は9時ごろに出勤してお客様を回ったり、車中で内勤をしたり……仕事を終えたら、19時には子どもをお迎えに行きます。妻は国際線のCAなので、家を1週間弱空けることがしばしばあり、その間は家事育児もすべて私のワンオペです。遠方の担当顧客が多いので、妻がいないときはお迎えに間に合うよう夕方のアポを調整するのが少し大変ですね。帰宅してからも、お弁当づくりや宿題のサポートがありますから。

 

――お子さんが生まれて、それまでよりも働く時間が制限されたと思います。いまのような働き方に落ち着くまでの調整は、スムーズにいきましたか?

小笠:最初は手探りでしたね。子どもが1歳半になったころに妻が復職して、その先はもう考えるより動くしかない、という状況でした。上司や同僚には「お迎えがあるので直帰します」など、わりとストレートに相談をしていたように思います。状況を正直に打ち明ければ、みんな快く受け入れて、サポートしてくれました。それに、検査業界は昔から女性が活躍している職場です。同じく子育てしているお客様のほうが「お迎えの時間は大丈夫ですか?」と気遣ってくださることも少なくありません。

結城:私が下の子を産んで復帰したのは、コロナ禍になってからです。結果的にロシュでもリモート勤務やフルフレックスが本格化して、いままで以上に柔軟な働き方ができるようになっていました。それにずいぶん助けられましたね。

小笠:そうした制度を活用するほかに大切なのは、やっぱり妻との連携でしょうか。いつもお互いのスケジュールが見えてきたら、すりあわせのミーティングを開いています。自分のキャリアを大切に思う気持ちは、男女を問わず同じです。うまく話し合って、お互いに融通していくしかないんですよね。

結城:育児と仕事をスムーズに両立するためには、情報共有って欠かせませんよね。家庭だけでなく職場もそうです。いつもチーム内でスケジュールを見える化したり、お客様の状況などを共有しておいたりするように心がけています。

社長に直接相談。「働き方」の選択肢を広げる取り組みが動き出した

――お二人のように外勤が中心の職種では、育児との両立がより難しい、という声もよく聞かれます。

 結城:実際、私が入社したばかりのときは、子育て中の女性フィールドサイエンティストは私しかいませんでした。また、出産をきっかけに内勤中心の業務に切り替わる人もいます。でも、これは育児に限らずですが……最終的にはどのような業務であっても、さまざまな事情を抱えた人が、それぞれベストな働き方ができる仕組みがあればもっといいと思いました。そこで昨年夏、社長の小笠原さんに直接相談する機会をもらったのです。

――仙台オフィスにいる結城さんが、どのように社長と面談の機会を得たのでしょうか?

結城:小笠原さんはもともと、オフィスに来るときはいろんな社員と話をしてくれる人なんです。女性の後輩が増えたこともあり、外勤女性のキャリアについて問題提起がしたいと考えました。私がいま仕事と育児をなんとか両立できているのは、この環境を切り拓いてくれた先輩たちのおかげ。だから今度は自分が、後輩たちにとってもっと働きやすい環境を整えていきたいと思い、「子育て中の社員がこれまで以上にベストな仕事をして、お客様にとってもWin-Winになる仕組みはつくれないのでしょうか」とご相談したんです。

――小笠原社長からは、どのようなリアクションが返ってきましたか?

結城:すぐに経営陣と課題の共有が行われ、具体的な取り組みを考えていくことになりました。その後は、小笠原さんが設定してくれた社内のさまざまな人との面談で、仕組みづくりのためのヒアリングをはじめました。このヒアリングには、とても助けられましたね。私は「内勤や時短以外にも何か選択肢を」くらいのぼんやりした方針しか持っていなかったため、みなさんの意見が頼りでした。小笠さんにも、たくさん相談に乗ってもらいましたね。

小笠:結城さんとはもともと、日ごろの子育てについてよく話していましたからね。

結城:私は、小笠さんの「会社にしてもらうだけでなく、自分がどう貢献できるかも含めて考えていく必要がある」という発言がとても印象的でした。仕事を通じて自己実現できる選択肢を増やす、という私の想いとも合致していたので、そこを軸に、制度を考えていきました。

――そうした話し合いを経て、この春からトライアルが始まったという制度について教えてください。

 結城:一言でいえば、子育てなどで長時間勤務できない先輩社員が、若手のOJTを担う制度です。先輩が若手社員に対して、独り立ちまで遠隔でフォローをします。先輩社員は場所の制限なく自身のノウハウを伝えることができ、教育という新しい業務に携わることも可能。一方で若手社員も遠隔サポートを受けながら現場経験が積めるし、これまでより独り立ちまでの猶予期間が長くなるため、その先で自信をもって業務に当たれるようになります。お互いがお互いにプラスをもたらす制度です。まずはトライアルをしてみて、目標設定や評価の仕組みも考えながら進めていきたいと思っています。

小笠:時間のやりくりは本当に大きな課題なので、とてもいい取り組みだと思いました。「夕方以降のアポが障壁となり、子育てしながら外勤ができない」という声は、昔からよく聞かれてきましたから……少しでもそういうシーンが減っていけばいいなと感じます。

互いを助け合うカルチャーさえあれば、いつだって進化を続けていける

――ヒアリングをはじめてから、実際に制度が動き出すまで約半年。とてもスピーディーな展開でしたね。

結城:ロシュは、一人ひとりの「ここを変えたい」という意志を助けてくれる会社だと、改めて思いました。だからこそ、自ら声を上げていくことの大切さも感じました。「どんな仕組みが必要だろう?」と一緒に考えてくれる仲間も、とても多かったです。それがロシュのカルチャーなのだと思います。

小笠:そうですね。じつは私は、子どもが生まれてすぐのころは「家庭のことを会社に持ち込むのはどうか」と悩んでいたんです。でも、職場に伝えて理解してもらわなければ家庭が回らないし、言ってしまえばみんなとても優しかった。「子どもの迎えに間に合わなかったら、俺が代わりに行くから」と言ってくれた上司もいました。子育てに限らず、人生においてそうした周りのサポートが必要になることって、誰にでもあると思うんです。だからこそお互いに助け合って、声を上げて、最適な働き方を模索し続けていけたらいいなと思います。

自身のキャリアを磨いていきたいと思っていても、子育てや介護、病気などで、働く時間や場所が限られてしまうケースは、誰にでもありえます。そこで諦めるのではなく、勇気を出して声をあげる。そして、その声を会社が拾い上げ、ベストなやり方を考える。そんなふうに、ロシュは、前に進みたいと思う社員を応援していきます。

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