全検査機器についてしっかりとした知識が必要

「検査機器も人間と同じで、ずっと使用していると不具合が出てきます。ただ人の場合は、ここがこのように痛い、たぶんこれが原因かもとある程度推測して状況を言えますが、機械が発するメッセージは『これができませんでした』のみ。様々な可能性を考えつつ、急いで原因を探らなくてはなりません」

山田さんは、ロシュ・ダイアグノスティックス(以下ロシュ)でエンジニアを15年勤めています。担当する検査センターにて、機械の設置、点検、修理を請け負うほか、後輩の指導にもあたっています。

エンジニアは、ロシュが扱う検査機器すべてを担当します。機器の分野は大きく分けて、生化学、免疫、凝固、遺伝子、病理と6種類ほど。それぞれの分野にいくつもの機器が存在します。山田さんらエンジニアは、これらの機器の知識をすべて習得し、活動に当たらなければなりません。


「機器一つひとつに対し、トレーニングが用意されています。エンジニアは、トレーニングを終了し、サーティフィケートを受けて初めて対象の機器を扱うことができるようになります。現場に出ても、すぐに自分の知識だけで解決とはなかなかいかないので、一人で任せられるようになるには、ざっと約1年かかります。ちなみに1台につき。私たちが扱うのは医療機器ですから、正確な知識を身につけることがまず大前提です」

修理の現場の到着した時、山田さんがまず行うことは、お客様の話をしっかり聞くこと。先方に不満があるのは当たり前。機械に向き合う前に、まずご迷惑をかけたお客様のお話を聞きます。その時に必要なことが、検査に使う検体を「ただの検体」と思わないことだと山田さんは言います。

「不具合を起こした検査機器の前に並べられた検体。これをただの検体だと思うと仕事がただの作業になってしまうんです。血液を採取するのが大変な患者さんだってたくさんいます。やっとの思いで採取した血液が検査機器の不具合で無駄になってしまうということは絶対に避けたい。これは検査センターのお客様も同じ思いです。なので、まずしっかり話を聞き、その後、機器を見せてもらって解決策を話します」

山田さんがその思いを強くしたのは、自身が父親になったからだと言います。

「父親になる前は、子どもの親という立場をなかなか想像することができませんでした。子どもが産まれてから、機会があって、小児病棟を訪れることがありました。心が壊れそうになりました。もしこの子たちが自分の子どもたちだったらと想像しました。私が普段目にしている検体は、こうした小さな体から採取したものかもしれない。そう思うようになったんです」

ただ機器に向き合って黙々と修理やメンテナンスをすることだけがエンジニアの仕事ではありません。その先に、現場のお客様と患者さん、そして患者さんの家族の笑顔があることを常に想像し、その笑顔のために、お客様とコミュニケーションを取りながら取り組んでいくことが必要になります。

 

「エンジニアは工学系の知識だけが必要と思われがちですが、実は、想像力を働かせてコミュニケーションをとることがとても大切なのかもしれません」

 

山田さんは今日も、現場のお客様としっかりとコミュニケーションを取りながら、患者さんの笑顔のために機器に向かっています。

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