ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、BRAF V600E変異タンパクを検出する体外診断用医薬品「ベンタナ OptiView BRAF V600E(VE1) 」について、2023年1月1日付で新規項目として保険収載され、本日付で発売することをお知らせします。本品は、大腸癌におけるリンチ症候群の診断の補助、及び、大腸癌における化学療法の選択の補助に使用できます。

「ベンタナ OptiView BRAF V600E(VE1)」は、免疫組織化学染色法(IHC法)によりがん組織中のBRAF V600E変異タンパクの有無を調べる体外診断用医薬品です。ベンタナ ベンチマークシリーズの自動免疫染色装置を用いて検出を行います。IHC法は院内検査として広く実施されており、従来の遺伝子検査と比べ、煩雑な手技は必要なく光学顕微鏡による観察ができるため、効率的で迅速な結果報告が可能です。

大腸癌には、加齢・生活習慣・環境因子などの影響により生じた遺伝子異常の積み重なりで発生する「散発性大腸癌」と、生まれながらにある遺伝子異常で発生する「遺伝性大腸癌」があります。遺伝性大腸癌である「リンチ症候群」は、ミスマッチ修復遺伝子(MSH2・MLH1・MSH6・PMS1・PMS2)の変異により、これらのタンパクを消失することで発生します。但し、BRAF V600E変異によりMLH1遺伝子抑制が生じ、MLH1タンパクを消失します。MLH1タンパク消失症例についてはBRAF V600E変異検査を行うことで、「散発性大腸癌」と「リンチ症候群」の鑑別が可能です。また、本品は遺伝子検査(NGS 法)との相関性が非常に良好であり、BRAF V600E 変異タンパク検出に対する臨床的有用性が示されております。よって、 ガイダンス等で示されているBRAF 変異検査のひとつとしてお使いいただけます。

ロシュ・ダイアグノスティックスは、本品の発売により、大腸癌における患者さんの適切な治療アクセス改善や、予後予測に応じた治療選択に貢献してまいります。

測定項目:BRAF V600E変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

測定方法:免疫組織化学染色 

保険点数:1,600 点

(注1) 治癒切除不能な進行・再発の直腸・結腸癌における治療選択の補助又は結腸癌における術後補助化学療法の選択の補助に用いること。

RAFファミリーに属するBRAFタンパクをコードするBRAF遺伝子は、大腸癌・甲状腺癌・悪性黒色腫・非小細胞肺癌・神経膠腫など複数の悪性腫瘍の一部において遺伝子変異がみられます。大腸癌においては、約5%でBRAF遺伝子変異がみられ、その多くがBRAFタンパクの600番目のバリン(V)がグルタミン酸(E)に置換するBRAF V600E変異であることが報告されています。BRAF V600E変異は散発性大腸癌においてMLH1遺伝子の発現抑制を介したミスマッチ修復機能に異常を引き起こすことが知られており、生殖細胞系列変異に起因してミスマッチ修復機能に異常が生じるリンチ症候群と散発性大腸癌との鑑別にBRAF V600E検査が用いられています。

広報(報道関係者向け)

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