ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、女性の婦人科に関する意識や実態などについてグローバル調査(日本を含む5か国、16歳〜39歳の女性、各国500名の計2,500名を対象)を実施しました。本調査の結果については、4月19日に「婦人科の受診に関する意識や実態」として公表し※1、2回目の報告となる今回は、婦人科受診に対する満足度、婦人科疾患・検査方法の認知度、子宮頸がんの疾患・検査・予防に対する認知度についてまとめました。
  1. 日本では不満足な点として「待ち時間」を選んだ人が3割超と最も多い回答となり、5か国で最も高かった

  2. 婦人科疾患の認知度について、日本では、「月経前症候群(PMS)」「子宮筋腫」が高い一方、「乳がん」「子宮頸がん」が他国より低い

  3. 検査方法の認知度について、日本では、子宮頸がんの原因ウイルスへの感染を確認する「HPV検査」について低い傾向

  4. 子宮頸がんについて、日本では、定期検診とHPVワクチンの有効性の認知度が3割程度にとどまる

女性特有の疾患には、症状が現れる頃には重篤化している場合や、妊娠を臨んだタイミングで身体に何らかのトラブルを抱えている場合があります。わずかな不調も見逃さないために、定期的な婦人科の受診や検診が大切となりますが、「妊娠してから行く」というイメージや内診への不安から、抵抗を感じる人が少なくありません。また、婦人科の検診率もあまり高くありません※2

これらの傾向が日本特有のものなのか、日本と他の先進国の実態を明らかにするため、婦人科の受診に対する意識や条件、疾患の認知度や情報収集の手段等をテーマに、日本を含む5か国でオンライン調査を実施しました。その結果の一部については、4月19日に報告しましたが、本リリースでは日本の婦人科受診に対する課題や、子宮頸がんに関する結果について報告いたします。婦人科の受診率向上のため、受診に対するネガティブな要素の軽減や、子宮頸がんの認知向上が必要だと考えられます。

ロシュ・ダイアグノスティックスは、検査薬・機器のリーディングカンパニーとしてウイメンズヘルス関連検査を通じて女性の健康に貢献するとともに、より健やかで自分らしい人生を送るための情報発信にも努めてまいります。

日本で婦人科受診に対する不満足な点としては「待ち時間の長さ」が3割半ばで突出して高く、婦人科受診に対する満足度は5か国で最も低かった。他国では「診察の際に、プライバシーが守られている(※内診台のカーテンなど)」ことで満足度が高まる傾向が見られたが、日本ではスタンダードのため、満足度に繋がらなかった可能性がある。

  •   婦人科受診に「満足している」の回答が日本以外の4か国いずれも3割を超えているのに対し、日本は1割台。「どちらかというと満足している」の回答と合わせても半数に満たない。(図表1)

  •  他国では「診察の際に、プライバシーが守られている」ことで満足度が高まる傾向。(図表2)

  •  不満足な点について、日本では「待ち時間の長さ」が3割半ばと突出して高く、「医療スタッフが親身になって相談に乗ったり、対応してくれない」が次に高い。(図表3)

  •  年代別にみると、20代は「女性医師が対応」のような心理的な満足度が高い一方、30代は「予約がとりやすい」「待ち時間が短い」「診療時間・診察内容等をWebで公開」「土日祝日や夜間も診療」「費用が適正」など、通いやすさへの満足度が高い傾向。(図表4)

婦人科疾患の認知度を調査したところ、日本では「乳がん」「子宮頸がん」などの認知が高いものの、他国と比較すると低い傾向にある。一方、「月経前症候群(PMS)」「子宮筋腫」の日本の認知度は他国より高い。

認知度は年代が上がるほど高くなる傾向にあり、年齢とともに婦人科疾患や出産を経験する人が増え、疾患への認知が拡大すると推察される。

  •  婦人科疾患の認知について、日本では「乳がん」が6割半ば、次いで「子宮頸がん」「月経前症候群(PMS)」「更年期障害」が5割台と続く。他国と比較すると、「子宮頸がん」「更年期障害」「卵巣がん」「子宮内膜症」の認知度は他国の方が高く、日本の4~5割に対し、他国は5~7割である。「月経前症候群(PMS)」「子宮筋腫」の認知度は日本の方が他国より高く、特に子宮筋腫は日本の4割超に対し、他国は2割程度。(図表5)

  •  日本では、年代があがるほど認知が高くなる傾向。20代から発症率が急増する※3子宮頸がんに関しても、30代と比べ、10、20代の認知は低い。対して、乳がんに対する認知は総じて高い。(図表6)

  • 症状を経験したことのある人や、子どもがいる世帯の認知が高い。(図表7、図表8)

婦人科の検査方法の認知について、日本では乳がんの「マンモグラフィー」や子宮がんの「内診」が、4割強と高い。一方、子宮頸がんの「HPV検査」の認知は2割弱にとどまり、5か国中最も低い。他国の場合、フランスとスウェーデンでは乳がんの「マンモグラフィー」が6割超と特に高い。
 

<乳がんの検査方法について>

  •  「乳視触診」の日本の認知は約2割で、他国より低い傾向にある。(図表9)

  •  フランスとスウェーデンでは、「マンモグラフィー」が6割超と特に高い。(図表9)
     

<子宮がんの検査方法について>

  •  子宮頸がんの原因ウイルスへの感染を確認する「HPV検査」の認知は2割弱にとどまり、5か国中最も低い。(図表9)

  •  「子宮頸部細胞診※5」「経膣エコー検査」は他国と大きな差が見られない。(図表9)

子宮頸がんについて知っていることを調査したところ、日本では「予防には子宮頸がん検診を定期的に受けることが有効」「進行すると治療が難しいため、早期発見が重要」「予防にはHPVワクチンが有効」を認知している割合は、3割にとどまる。他国の認知度は日本より高く、定期健診やHPVワクチンの有効性が認知されている傾向にある。

  •  子宮頸がんについて、日本では「予防には子宮頸がん検診を定期的に受けることが有効」「進行すると治療が難しいため、早期発見が重要」「予防にはHPVワクチンが有効」を認知している割合は、約3割。(図表10)

  •  上記項目の他国の認知度は日本より高く、中でもイギリスでは「進行すると治療が難しいため、早期発見が重要」「予防には子宮頸がん検診を定期的に受けることが有効」が約5割、スウェーデンでは「予防にはHPVワクチンが有効」が約6割と特に高い。(図表10)

  • 日本では、定期的に検査を受診している層は高スコアの項目が多く、検査や治療についての認知が高い。(図表11)

※1:2022年4月19日公表「
※2:厚生労働省より 
※3:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(1975~2015年)
※4:子宮頸部の細胞がHPVに感染しているかどうかを調べる検査。超ハイリスク型ともいわれるHPV16型と18型への感染が確認できる方法もある。
※5:子宮の入り口(頸部)の細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査。がん細胞だけでなく、がんに進行する可能性のある「異形成」といわれる細胞を発見することが可能。

調査方法:インターネットリサーチ

調査地域:日本、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストラリア

調査期間:日本: 2021年12月16日(木) ~ 2021年12月24日(金)

その他の国: 2021年12月28日(火) ~ 2022年1月6日(木)

調査対象者:16 歳~39 歳の女性、各国 500人、計 2500人

調査機関:Syno Japan株式会社

  • 日本では「乳がん」が6割半ば、次いで「子宮頸がん」「月経前症候群(PMS)」「更年期障害」が5割台と続く

  • 「子宮頸がん」「更年期障害」「卵巣がん」「子宮内膜症」の認知度は他国の方が高く、日本の4~5割に対し、他国は5~7割

  • 「月経前症候群(PMS)」「子宮筋腫」の認知度は日本の方が他国より高く、特に子宮筋腫は日本の4割超に対し、他国は2割程度

  • 年代があがるほど疾患の認知が高くなる傾向

  • 子宮頸がんに関して、30代と比べ、10、20代の認知は低い

  • 乳がんに対する認知は総じて高い

  • フランスやスウェーデンでは、「マンモグラフィー」の認知が6割を超えて特に高い

  • 日本の「HPV検査」の認知は2割弱にとどまり、5か国中最も低い

広報(報道関係者向け)

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