メディアリリース
2017.10.02
ティシューダイセクション法の新提案 検体前処理装置「アベニオ Millisect」発売
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信)は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片から、解析対象の目的細胞領域を切り出すシステム「アベニオ Millisect」を10月2日に発売します。
リアルタイムPCRまたは次世代シークエンサーによるがんの遺伝子検査または解析にFFPE検体を用いる場合、がん細胞の遺伝子情報をより正確に把握し、偽陰性を減らすためには、FFPE切片から目的とする細胞領域を切り出すこと(ティシューダイセクション)が重要となります。このティシューダイセクションには、現在、手作業によるマニュアルダイセクションと、レーザーによるレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)があります。マニュアルダイセクションは作業が煩雑で熟練の技術を要します。また隣接する正常細胞が混入しやすく、検査結果が偽陰性になるリスクが高くなります。一方、LCMは操作が複雑で時間がかかり、微小な切り出しができるものの、細胞損失の可能性や核酸回収の担保が難しい場合があります。
「アベニオ Millisect」は、目的細胞領域を拡大画像上でデジタルマーキングし、使い捨ての専用チップを用いて自動で切り出し、回収ができる新しいダイセクションシステムです。シンプルな操作で日常のラボワークフローに組み込みやすく、作業者の熟練度に関わらず一定した結果が得られます。専用チップはブレードのサイズによって3種類あり、最小で直径250μmの精度で切り出します。これにより、臨床的に有用な量の腫瘍細胞含有量の高い試料を確保できます。また、デジタルマーキングの情報や切り出し前後のスライドの画像は自動的にレポート作成され、追跡することができます。
「アベニオ Millisect」は、個別化医療における遺伝子検査や、新しい治療法のための分子プロファイル解析など、組織標本からより正確で有用な遺伝子情報を必要とする現場において、お役立ていただけます。
【製品特長】
専用チップを用いて、目的の細胞領域を自動で切り出し、回収
最小で直径250μmまでの精度で切出し可能。腫瘍細胞含有量が高く、臨床的に有用な量の試料を確保
デジタルマーキング情報、切出し前後のスライド画面情報を自動的にレポート作成。手書きの作業記録が不要
【製品概要】
- 希望販売価格(税抜)
<機器>
アベニオ Millisect
1式 980万円
<消耗品>( )はブレードの大きさ
アベニオ Millisect チップS (黄) (約250 μm)
48本 192,000円
アベニオ Millisect チップM (緑) (約550 μm)
48本 192,000円
アベニオ Millisect チップL (青) (約800 μm)
48本 192,000円
アベニオ Millisect フィルステーション
16個 25,600円 - 仕様 (寸法(mm)、重さ)
装置本体
480(w)×330(D)×570(H) 約21kg
【製品写真】
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アベニオ Millisect : 装置本体(左)、コントロールユニット(右)
(医療機器製造販売届出番号:13B1X00201000075 )
【ダイセクションの例 (膵臓腺がん検体)】
アベニオ Millisectによる切り出し範囲(緑の線)
腫瘍性細胞の含有率は70-80%
マニュアルダイセクションによる切り出し範囲(黒の点線)
腫瘍性細胞の含有率は20-30%
(出典:Geiersbach K et al. Cancer Genet. 2016;209(1-2):42-49)