PCRって何ですか?

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年から「PCR」という言葉がニュースで頻繁に使われるようになりました。今やほとんどの方が耳にしたことがあるでしょう。ひょっとすると、多くの方はPCR=新型コロナウイルス検査と理解しているかもしれません。実は、「PCR」は新型コロナウイルスが発見される前から、様々な場面で活用されているのです。

PCR技術の先駆者であり、臨床診断への応用に貢献してきたロシュが、PCRについてご説明します。

こんにちは、僕、将来、医療系の大学に進みたいと思っている高校生です。最近テレビでよく聞く「PCR」について、ロシュの人が詳しいと聞いたので学びに来ました。
「PCR検査」って、新型コロナウイルス感染症を調べる検査ですよね?

ようこそロシュ・ダイアグノスティックスへ。
確かに、新型コロナウイルスの検査として、PCRが知られていますね。

でも、PCR=新型コロナウイルス感染症の検査ではありません。そもそも、PCRというのは検査の方法のことで、他にもいろいろな用途で使われています。

では、さっそくカテゴリ毎に見ていきましょう。

PCRとは、正式には「ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)」といい、生物の遺伝情報をもつDNAを複製して増幅させる方法のことを言います。

PCRを利用すれば、ごく微量な検体/サンプル(血液、組織、細菌、ウイルス等)であっても、そこに含まれるわずかなDNAから、特定の配列だけを短時間で増やすことで目的の微生物や遺伝子配列が存在しているかを知ることができます。このPCRの特性を活かして、体内や食品などに潜む細菌やウイルスを検出し、遺伝子の研究や、DNA鑑定など幅広い分野で利用されています。

DNAは聞いたことがあります。
遺伝の情報を増やすって、なんだかすごいですね。
いったいどうやって増やすのですか?

DNAは多くの生物の遺伝情報を担っている、生物の設計図とも言われていますが、目に見えないぐらい小さなものです。それを複製して増幅すると言われても、ピンときませんよね。では、もう少し詳しく原理について見てみましょう

DNAは、正確にはデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)といい、デオキシリボースという糖と、リン酸、そして塩基という三つの成分で構成される非常に長い鎖のような高分子です。

さらにDNAに使われる塩基にはアデニン(A)チミン(T)シトシン(C)グアニン(G)という4種類があり、このA-T-C-Gの並び方で遺伝子が決定されます。DNAは通常二本鎖が一組となる、らせん階段のような構造をしています。

この2本の鎖は、熱を加えると離れて一本鎖になり、冷やすと二本鎖として元の配列同士が結合する特性があります。PCRはこのDNAの特性を利用しています。

デオキシリボース、塩基、、、。
アデニン、チミン、というのは聞いたことがあるような、、、いきなり難しくなった印象です。

PCRの原理を理解するためのポイントは、

  • 熱を加えると2本の鎖は離れて、冷やすと元の配列同士くっつく特性がある。

  • 全部を増やすのではなく、目的とする部分だけを増やす

  • 指数関数的に増えていく

という3点です。

  • DNA(増やしたいDNA配列を含む検体から核酸抽出・精製を行っておきます)

  • 増やしたい配列のプライマー

  • DNAポリメラーゼ

上記に加えて、dNTP(デオキシヌクレオシド三リン酸、ATGCの基質)などを含む反応液

プライマーとは、増やしたい配列の両端に結合するように作られた合成DNAです。ForwardプライマーとReverseプライマーといって、二本鎖DNAのそれぞれの鎖の片側にのみ設計します。

DNAには方向性があり、DNAポリメラーゼは5’→3'の方向にしかDNAを合成しません。二本のDNA鎖はそれぞれ逆向き且つ相補的に結合していますのでそれぞれのDNA鎖の上流にプライマーを設計することで合成したいDNAの範囲を決めることができるのです。DNAポリメラーゼとはDNAを複製させるための酵素です。PCRに用いられるDNAポリメラーゼは激しい温度の上下に耐えられる、耐熱性DNAポリメラーゼといわれるような特殊な酵素です。もともとはイエローストーン国立公園の熱泉に棲む好熱菌Thermus aquaticusが産生するDNAポリメラーゼが使われました。

原理が理解できたところで、DNAの増やし方を学びましょう。
PCRでDNAを増幅させる工程は大きく3つのステップから成ります。これを”サイクル”と呼び、PCRの基本的な単位になります。

DNAに熱を加える(通常95℃程度)と、2本の鎖が分離し、1本ずつの鎖になります。

次に徐々に温度を下げていきます(通常55℃~65℃、プライマーの長さや配列による)。これにより、ステップ1で一本鎖にしたDNA鎖のターゲット部分にあらかじめ反応液の中に入れておいたプライマーが結合します。一般的に、プライマーは15~30塩基の長さからなる一本鎖の短い合成DNA断片です。元の長い鎖同士も再結合しようと試みますが、プライマーの方が短く、圧倒的に量が多いので、元のDNA同士が結合するよりも早く反応が進みます。

日本語で”焼なまし”を意味する単語です。適切な温度に加熱及び灼熱した後、室温に戻ったときに、平衡に近い組織状態になるような条件で冷却することからなる熱処理のことをいいます。

再び、温度を上げます(72℃位)。DNAポリメラーゼが作用して新たなDNA分子が合成されます。プライマーを起点として、下流方向に向けてそれぞれの鎖を鋳型に、対となる鎖が作成されるのです。

ステップ1~3の”サイクル”によって一組の二本鎖DNAから二組の二本鎖DNAができる計算になります。したがって、このサイクルを繰り返すことで、DNAを2倍、4倍、8倍と、増幅させることができます。

ちょっとサイクルを回しただけで、こんなに増えるんですね。すごいなぁ。

今はこのPCRの原理を応用した、さまざまな方法が登場しています。いずれも、DNAを増やして調べるという目的は同じです。

おかげで、PCR技術を使って、どうやってDNAを増やしていくか理解できました。

「PCRについて(基本情報)」でお話ししたのは、PCRの概念です。実際にPCRを実施するためには、正確に温度を上下させたり、増えたDNAを測定するための装置が必要になります。

たしかにそうですね。どうしたらいいんだろう。

PCRという手法が開発された最初期のころは、研究者は、それぞれの温度に設定されたウォーターバス(恒温槽)を用意して、時間を計りながらチューブを移動させていたそうです。

それはとても大変そうですね。

はい、そこで開発されたのがサーマルサイクラーです。これは、あらかじめ設定されたプログラムの通りに反応液の温度を上下させることができる機械です。このサーマルサイクラーの登場によって、PCRに必要な温度の上下を自動で行うことができるようになりました。

コンプレッサーからペルチェ素子を使用したものに進化したり、ヒートリッド搭載の機種が出てきたことで蒸発を防ぐためのミネラルオイルを使わなくてよくなったりと、いくつもの進化を経て今の形になっています。

  • コンプレッサー:エアコンのようにヒートポンプの循環によって温度を上げ下げします。

  • ペルチェ素子:板状の半導体熱電素子で、電流を流す方向を変えることで加熱と冷却を制御することができます。

  • ヒートリッド:反応液を95℃付近まで加熱するPCRでは液の蒸発が課題となります。水分が蒸発して反応液が濃くなるとPCR反応が正しく行われないことがあります。蒸発した水分はチューブの蓋に水滴として付着するのですが、チューブの蓋を常に100℃以上に加熱したリッド(フタ)で押さえつけて加熱することで、こうした水滴がつかず反応液の蒸発を防ぐことができます。ヒートリッドが開発されるまでは、95℃では蒸発しないミネラルオイルを反応液の上に積層することで蒸発を防いでいましたが、手間がかかることやオイルの扱いが難しいことなどが課題でした。  

ところで、PCRって、増えたDNAをどうやって調べているのですか?

いいところに気が付きましたね。DNAというのは反応液に溶けた状態では無色透明なので、いくら増やしても直接目で見ることができません。そこで増幅産物を可視化するためのいくつかの方法が開発されています。

アガロースゲル電気泳動法とは、アガロース(寒天)でできたゲルにDNAをおき、直流電流を通電させることでPCRで増幅させたDNA断片を分離することができる技術です。DNAはマイナスに荷電しているため、電気を流すとプラス極の方へとアガロースゲルの中を移動していきます。

ゲルの中をDNAが泳動していくとき、小さなDNA断片は素早くアガロース分子のあいだをすり抜けていくのに対して、大きなDNA断片はゆっくりと移動していきます。このことから電気泳動することで、増幅産物のおよその大きさを知ることができるほか、元の鋳型のDNAは巨大なDNA鎖ですからほとんど泳動されませんから、PCRによって増えた産物のみを見ることができるようになります。

ただし、電気泳動をしただけではDNAは無色透明のままですので、電気泳動した後のゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)やサイバーグリーン(SYBR Green)といった色素で染色する必要があります。これらの色素はインターカレーターといって、DNAの二本鎖に結合して紫外線や蛍光によって光るという性質があります。従ってPCR後の増幅した二本鎖DNAがある場所が光るようになるため、PCRによって意図した通りに増幅産物ができているかを確認することができるようになります。

  • 比較的安価な設備や試薬で実施することができる

  • 増幅産物の大きさや量をある程度見分けることができる

  • アガロースゲルからPCR産物のみを抽出することで、増幅産物を他の実験に用いることができる

等があげられます。

  • PCR後の増幅産物を取り扱うため、ほんの僅かな液滴の飛散でも実験室が増幅産物で汚染されてしまうリスクがある

  • PCR反応後に電気泳動を行うなど手間がかかる

などがあります。

リアルタイムPCRは、PCR反応中の反応液をサイクルごとに蛍光カメラで撮影し、その蛍光強度の変化からPCR反応を観察する技術です。サイバーグリーン(SYBR Green)などのインターカレーターを用いる方法と、TaqManプローブ(加水分解プローブ法)を用いたプローブ法が主流となっています。いずれの方法でも、反応溶液中の二本鎖DNAの量が増えていくに従って蛍光強度が強くなっていく仕組みになっており、PCR反応によって指数的にDNA断片が増えていくと、蛍光強度も併せて指数的に強くなって行きます。

リアルタイムPCRは一般的に図のような増幅曲線として測定されます。横軸はサイクル数、縦軸は蛍光強度です。サイクル数が増えるにつれて、もしPCR反応が起こった場合、DNAの量に合わせて蛍光強度も強くなっていきます。PCR反応の初期(サイクル数が少ない)では蛍光強度も大きく増えませんが、反応が進んでくると図のようなシグモイドカーブと呼ばれるS字状のカーブを描いて蛍光強度が増加します。反応の後半で蛍光強度が増えなくなるのは、反応液中の基質(A,T,G,C)やプライマーが枯渇してそれ以上PCR反応が起こらなくなってくるためです。

リアルタイムPCRのメリットは…

  • 増幅後の産物を扱う必要がないため、実験室の汚染リスクが低い

  • サイクル数毎に蛍光強度を測定するため、元の検体に含まれる鋳型DNA量が推測できる

  • 複雑な操作を必要としないため、比較的扱いやすい

  • TaqManプローブでは蛍光物質を変えることで一つの反応液で二つ以上のPCR反応を同時に行う事が容易である

等があげられます。

  • 設備や試薬が比較的高価である

  • 増幅産物のサイズなどがわからないため、特異的な増幅が起こっているか判別しにくい

等があげられます。

そうなんですね。この二つの方法はどちらが優れているのでしょうか。

電気泳動によるコンべンショナル(伝統的)なPCRは機器や試薬が比較的安価で、柔軟な対応が可能です。そのため研究の分野では数多く使用されています。

一方でリアルタイムPCRはサイクル数から元の鋳型DNAの量を見ることができるほか、増幅産物を取リ出さずに結果を見ることができるため、コンタミネーション(汚染)のリスクが少ないなどのメリットがあリ、精密な研究や臨床検査などで多く使われています。

そういえば、ウィルスなどでは DNA ではなく RNA を持ったものもあると学校で習ったのですが、RNA も PCR で見ることができるのですか?

PCRはニ本鎖DNAを増幅する技術なのて、通常RNAを増幅することはできません。そこで「逆転写反応」という反応によってRNAからDNAを合成して、そこからPCR反応を実施する方法があリます。

RNAからDNAを合成する方法です。 一部のウイルスは、DNAを持たず遺伝情報としてRNA*を持っています。こうしたウイルスをRNAウイルスといい、そのほとんどが1本の鎖のような構造をしたRNAを持っています。

RNAに対して、DNAを増幅するPCR法をそのまま適用することはできませんが、RNAからDNAを作り出すことができる酵素(逆転写酵素)を用いることで、通常のPCR法を適用できるようになります。このように、逆転写酵素を使用してRNAからDNAを作り出し、PCR法を実施する手法のことをRT-PCRといいます。

リボ核酸(ribonucleic acid)といい、DNAと同じ核酸の種類です。糖、リン酸、塩基から構成され、遺伝に重要な役割を持っています。DNAとの違いは、糖の種類がリボースであること、塩基としてチミン(T)の代わりにウラシル (U) を持っていること、1本鎖であることです。

【RNAとDNA】

逆転写反応とPCRという二つの技術を組み合わせることで、RNAからもPCRが可能となっています。
RNAウイルスを高感度に測定する必要がある場合や、体内のmRNA(メッセンジャーRNA)と言われる転写産物を解析する場合など、RNAをリアルタイムPCRで測定するために用いられています。

一つの反応液の中に逆転写酵素とDNA合成酵素を入れる方法の他にTth DNAポリメラーゼのように一つの酵素で逆転写とDNA合成の両方ができる機能を持った酵素も使われます。

なるほどー。リアルタイムPCR、逆転写反応・・・
きっと、研究者とか、専門的な知識を持った人しかできないぐらい、作業も難しいんでしよう。そういえば、新型コロナウイルスのニュースでは、PCR検査は時間がかかると聞いたような気もします。

PCRはさまざまところで応用利用されています。大学や製薬会社の研究室、食品衛生検査や農作物の改良研究、動植物の疫学調査、法医学などでの鑑定、そして病院の検査室など、本当にいろいろあリます。

臨床検査のためのPCRを行うときには専用の分析装置と試薬と呼ばれる検査薬を使います。PCRを行う臨床検査技師の方々は、そのような装置や試薬に関する知識と、微量のDNAを取り扱う技術が要求されます。また、検査機器・試薬メーカーもよりシンプルな操作でより精度の高い結果が出せる製品の開発に日夜努力しています。

研究目的や比較的小規模の検査の場合

比較的小型のPCR用分析装置を用いて実験や検査が行われます。

事前準備として、検体から核酸(DNAなど)を抽出します。これも機器を使って行うことができます。抽出後、PCR機器でDNAを増幅させて分析します。分析時間は、約1時間で一回当たり最大96テスト分の検査ができます。

比較的大規模な検査を行う場合

核酸抽出から増幅まで、全自動で行う大型の分析装置も登場しています。検査センターと言う、さまざまな検査を引き受けている施設や、大病院の検査室などで使われています。分析装置によっては、検体を導入してから約3.5時間で結果を出すことができ、8時間連続的に稼働した場合数百のテストを行うことができます。

迅速なPCR検査を行う場合

非常にシンプルな操作で、核酸抽出から増幅まで全自動で30分以内に測定可能な超小型のPCR検査装置も登場しています。夜間救急外来など迅速な結果が求められる場所で活躍しています。

色々な用途に合わせた装置があるんですね。それに全自動でもできるって、思ったよリ進んでるんですね。

検査の種類も新型コロナウイルスだけでなく、実は既に色々な検査でPCRが使われています。詳しくは3回目の「PCRの活用例と歴史」のところでお話しますね。

2019年12月に中国武漢市で初の感染者が報告され、後に世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、遺伝情報としてRNAを持っているウイルスです。そのため、新型コロナウイルスのPCR検査では、鼻咽頭ぬぐい液や唾液などの検体採取後に、主に逆転写リアルタイムPCR法を用いて新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかを調べます。

新型コロナウイルス感染症によって、「PCR検査」という呼び方が定着しましたが、実はこの言い方は正確ではありません。すでに述べたように、PCRとは検査の方法を指す言葉で、調べる対象はDNA(遺伝子)です。つまり、正しい言い方は「PCR法を用いた遺伝子検査」となります。普段会話するときは、あまり気にしすぎる必要はありませんが、ぜひ知っておいてください。

抗原検査と抗体検査との違い

ウイルスや細菌などによる感染症の原因を特定する方法として、PCR法を用いた遺伝子検査のほか、抗原検査や抗体検査が行われる場合があります。新型コロナウイルス感染症の検査でも、PCRだけでなく、抗原検査や抗体検査も行われています。

それぞれどのような検査で特徴があるのか、詳しい情報はこちらをご覧ください。


今までPCRの基本から仕組み・方法などまで教えてもらい、だいぶ知識が増えました!

ところでPCRって、新型コロナウイルス感染症以外に、どんな用途で使われているのでしようか。

PCRについて少しでも理解を深められたようで、良かったです。

他にも、病気の検査や、法医学、環境汚染の検査まで、実に様々な目的で使われているのですよ。

B型肝炎やC型肝炎の原因ウイルスであるHBVやHCVの検査では、病態の判断や治療薬の効果をモニタリングするため、血中のウイルス量を知る目的で定量PCRが行われています。

一方で健康診断などで実施されるスクリーニング検査では、効果的な肝炎患者の発見のため、B型肝炎ウイルスの抗原検査やC型肝炎ウイルスの抗体検査などが行われています。そして、これらの検査で陽性となった人が、さらに精密な検査として定量PCR検査を受ける仕組みになっています。

子宮頸がん検査(HPV)

子宮頸がんの原因の殆どにHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが関与していることが知られています。このウイルスを調べる検査でPCRが使われています。

子宮頸がんの検査では細胞診という検査が一般的に行われてきましたが、近年ではHPVをPCR検査でより高感度に調べる方法も普及してきています。

子宮頸がんは、「予防できるがん」とも言われています。定期的な検診が早めの予防につながります。

詳細はこちらから → 

がん遺伝子検査

がんの治療では、事前に患者さんのがんのタイプを調べて特定の薬が効くかどうか調べることがあります。この時に用いられる検査の中には、PCR法を用いた検査もあります。がん組織や血液中の遺伝子変異などを調べる際に役立っています。

白血病

「血液のがん」とも言われる白血病においても、染色体や遺伝子の異常を調べる目的でPCR法の検査が活用されています。

PCR法の検査は、病気に対する検査のみならず、幅広いシーンで使用されています。

カテゴリごとに主な活用例を挙げていますので、見てみてくださいね。聞いたことがあるものや知っているものはあるでしようか?

その他の活用例

カテゴリ
主な活用例
臓器移植

臓器移植のドナー(臓器を提供する人)とレシピエント(提供された臓器の移植を希望する人)のマッチングでPCR検査が実施されています。

周産期医療

我が国における妊婦検診では公費負担でクラミジアのPCR検査が実施されています。

献血

提供された血液はPCR検査などによってウイルスがいない事を確認してから輸血や血液製剤の原料などに使われています。

法医学

DNA鑑定の際にPCR法が使われ、主に以下のことに役立っています。

  • 事件の容疑者の特定

  • 罪を不当に告発された人の容疑を晴らす

  • 犯罪や災害の被害者の特定

  • 家族関係の立証

農業・食品・環境
  • 絶滅危惧種や保護種の特定

  • 植物の種や家畜の血統・系統の判定

  • 遺伝子組換え食品(GMO)の安全の確認

  • キャビアやワインなどの消耗品が本物であることの証明

  • 空気、水、土壌、食品の汚染に関与する細菌や微生物の検出

病気を調べるだけでなく、献血や法医学の場面でも使われてるんですね。

いろんなところで大事な役割を担っている検査なんですね。
ところで、このPCR法の検査は、いつから世の中で使われるようになったのですか?

PCRという技術自体は1983年に考案された技術です。ただそこから医療に応用されるまでにもう少し時間がかかリました。

ではせっかくなので、次のテーマでPCRの歴史も学んでいってください。

PCRは1983年にキャリー・マリス博士によって考案されました。しかし、マリス博士の発明の前後には様々な研究者たちの発見があリました。

驚きです!PCRの原点は、1953年に遡るのですね。

初めはPCRについてほとんど知らなかったけど、僕の友達や家族にも教えてあげられると思いました!

最後までPCRについて学んでくれて、ありがとうごさいました。

ちょっと細かな話もありましたが、今までの内容を知っていればPCRについてはだいぶ詳しくなっているはすです!

また、いつでもここに戻ってきて見てくださいね。

参考文献:

  1. Watson, J.D.; Crick, F.H. (1953). "A structure for deoxyribose nucleic acids". Nature. 171 (4356)

  2. Lehman IR, Kornberg A, et.al., (1958). "Enzymatic synthesis of deoxyribonucleic acid. I. Preparation of substrates and partial purification of an enzyme from Escherichia coli". The Journal of Biological Chemistry. 233 (1): 163–70.

  3. Brock TD; Freeze H (1969). "Thermus aquaticus, a Nonsporulating Extreme Thermophile". J. Bacteriol. 98 (1): 289–97.

  4. F. Sanger, S. Nicklen, and A. R. Coulson (1977). “DNA Sequencing with Chain-Terminating Inhibitors”. Proceedings of the National Academy of Sciences, USA 74 (12): 5463-5467.

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