臨床検査とは

臨床検査(りんしょうけんさ)という言葉を聞いたことはありますか?臨床検査とは、診療目的で行われる、病気やけがなどの状態を確認するための検査のことです。いつ、どこで、どのように行われるのか簡単にご紹介します。

A. からだの具合が悪い、病気かも?と思ったとき、かかりつけのクリニックや病院を受診することがありますよね。診察室に入ると、まずお医者さんは、あなたのからだの状態を知るために、どのような症状があるのかを細かく質問し(問診)、病気の原因と思われる部位を触る(触診)、聴診器でからだの中の音を聞く(聴診)、患部を直接見る(視診)などから診察を始めます。そして、尿の検査や血液の検査、あるいはレントゲン撮影や超音波(エコー)などのいろいろな検査を行います。これらの検査のことを臨床検査といいます。

お医者さんがあなたの病気を正しく診断し、適切な治療方法を決めるためには、あなたのからだの状態を詳しく知らなければなりません。そこでお医者さんは、あなたのからだが発している様々なサインを一つ一つ丹念に確認します。

まず、あなたが感じている気になる症状を中心に問診し、さらに視診、聴診、触診などを行います。
次にあなたの病気の診断のために必要だと思われる臨床検査を行い、あなたのからだが発するサインの原因を探します。 

このようにお医者さんは、診察の際に得られた情報と臨床検査の結果から、あなたの病気が何かを診断し、どのような治療が必要なのかを判断しています。

A. あなたの身体が発するサインは、実はいろいろな形で現れています。尿や血液中の成分の異常、レントゲン写真などの画像の異常、このようなサインは問診や視診、聴診、触診などの診察だけではわかりません。そこで、臨床検査によって、より細かくあなたの身体を調べることが必要になります。

病気になると、臨床検査の結果に何らかの異常がみられることが多くあります。 たとえば、疲れやすい、ふらふらするといった症状が現れた場合、お医者さんは原因の一つとして貧血を疑います。 そこであなたから血液を採取して、検査を行います。あなたの身体から発するサインの原因を調べるのです。そして、他の情報も参考にしながら、病気を診断し、病気の程度がどれくらいなのか、どのような治療が必要なのかを判断します。

A. 臨床検査は、病気の診断と治療方針を決めるために必要な情報を提供してくれますが、一回の治療で治る病気ばかりではありません。治療に長い期間が必要な病気の場合、最初の検査だけではなく、治療の経過をみながら病気が進んでいないか、他の治療法に変更する必要はないか、といったことを判断するためにも役立ちます。

さらに、病気のときだけではありません。学校や職場などで定期的に健康診断が行われますが、その時にも臨床検査は行われています。つまりあなたは、幼いころから臨床検査を受けているのです。

患者さんの訴えを聞く問診や、視診、聴診、触診などで、おおよその診断をしたあと臨床検査を行い、それらの情報をもとに、総合的に病気の種類や程度などを判断し、今後の治療方針を決めます。治療法によって副作用が現れる恐れがないかどうかの確認にも、検査結果が用いられます。

定期的にお医者さんの診察を受け、治療を続ける必要がある病気も多くあります。お医者さんは、次のことを確認するために、臨床検査を行うことがあります。

  • 選択した治療法が患者さんの治療に役立っているか?

  • 治療による副作用など異常はないか?

  • 今後も同じ治療法を継続するか?他の治療法に切り替えるか?

たとえ、あなたが身体の異常を感じていなくても、身体の中には病気が潜んでいるかもしれません。何もしないまま放っておくと病気になってしまうような、病気の一歩手前の状態かどうか、などを確認するためにも、臨床検査によって得られる情報はとても重要なのです。 病気にならないために、日々の生活習慣を見直す(たとえば、塩分を控える、お酒の量を減らす、禁煙する、等々)必要があるかどうかも臨床検査で確認することができます。すでに病気になっていたとしても、病気の進行が早い段階であれば、病気がさらに悪化することを防ぐこともできます。

Q. 臨床検査はどう役立っているの?

1)予防・早期発見スクリーニング 
健康診断や検診などによって、病気がないかどうかを確認することや、たとえ病気があっても早い段階で診断する。

2)診断
病気が何なのかを診断し、今後の治療方針を決めるための補助にする。

3)予後予測 
治療や手術後の状態を把握する

4)治療の選択 
薬物や治療の副作用の予測、どの治療薬を使用するのかを判断するための補助とする

5)治療モニタリング 
定期的に臨床検査を行うことで、選択した治療効果の判定や副作用の有無を確認する。

A. 臨床検査は大きく「生理機能検査」と「検体検査」の2つに分けられます。

  • 生理機能検査:患者さんの身体を直接調べる検査です。

  • 検体検査:患者さんから採取された血液や尿、組織や細胞などを調べる検査です。

生理機能検査は、レントゲン検査やCT検査、超音波検査(エコー)などのように、患者さんの身体を直接調べる検査です。写し出された画像に異常がないかどうかを調べます。

検体検査は、患者さんから採取した尿や便、血液、組織などの検体から、患者さんの身体の異常を探る検査です。たとえば、採取した血液を化学的に分析し、血液中のある成分の量が基準となる量よりも多いか少ないかを調べます。また、組織や細胞は顕微鏡で観察して形態に異常がないか、がん細胞などの異常な細胞がないかどうかを調べる検査です。

A. 大きな病院では、検査のための専用の検査室があり、多くの場合はそこで患者さんから採取した検体の検査を行っています。小さなクリニックなど検査室のない医療機関では、検査センターと呼ばれる専門の機関に検体を送って調べてもらいます。検査は「検査技師」が行います。

大学病院や規模の大きな病院では、臨床検査を行う専用の検査室があり、さまざまな検査用の分析装置によって、患者さんから採取した検体をただちに分析しています。検査によっては、数時間後にはお医者さんから検査の結果を聞くことができます。

かかりつけのクリニックなど、専用の検査室の無い医療機関では、患者さんから採取した検体を地域の検査センターに送り、そこで検体を調べてもらいます。

病院の検査室も検査センターも、毎日大きな分析装置で多くの検査を行っています。 検査結果は医療においてとても大切な情報なので、「検査技師」という国家資格を持った方々が臨床検査を行うことが決められています。

臨床検査のうち、検体検査と呼ばれる検査についてもう少し詳しくご紹介します。

Q. 検体検査にはどのような種類があるの?

尿を調べると腎臓、膀胱、肝臓の病気を見つけることができます。また、糖尿病などの代謝性の病気の検査としても重要です。具体的には尿タンパク、尿糖、潜血反応や尿中の有形成分の有無などを検査します。健康な人の尿には、タンパクや糖などはほとんど見られません。

消化管からの出血を調べるため便の中に血液が混ざっているかをみる便潜血反応、回虫や鞭虫、条虫及びこれらの虫卵を調べる寄生虫検査があります。

血液学的検査は、貧血、白血病、出血傾向などの血液疾患の病態解析、診断、治療効果の判定、経過観察、予後の推定に欠かせない検査です。赤血球、白血球、血小板の形や量、凝固・線溶(血液の固まりやすさ)どを調べます。

他のさまざまな病気の診断や経過観察においても重要な検査です。

血液中のさまざまな成分を分析し、身体に異常がないか、身体のどの部分(臓器や組織)の病気なのか、身体の中に炎症が起こっていないか、栄養状態はどうか、などを知ることができる検査です。血液や尿の中に含まれている成分を測定します。

患者さんが飲んでいる、あるいは注射されているお薬が血液中にどれくらいの濃度があるのかを測定することで、治療方針の決定や服用量の設定にも利用されています。

細菌やウィルスの感染によってできた血液中の抗体の有無や量を調べることで、病気を診断する検査です。 その他に、血液中のホルモンなど微量な物質の測定を行う検査もあります。

遺伝子検査はさまざまな病気の診断や治療に役立てることができる検査です。 遺伝子は、人間の身体を作る設計情報であり、親から子へと受け継がれます。 一部の病気では、遺伝子の突然変異が原因となることがわかっています。

微生物による感染を調べるための検査です。

微生物には細菌、真菌(カビ類)やウイルスなどがあります。

人の身体から採取した組織、細胞からプレパラート(顕微鏡で観察できるガラス標本)を作成し、顕微鏡で形態を観察することで病気の確定診断、病期や予後の推定、治療効果の判定を行う検査です。 病理検査は、検体の種類・採取方法や目的によって「組織検査」と「細胞診検査」に分けられます。

安全な輸血を行うため、輸血用血液製剤が患者さんに適合するかどうかを見る検査です。他人の血液を使用するため多くの副作用が起こる可能性がありますが、貧血や出血の際には必要な治療です。 そのため、輸血検査では血液型をはじめ各種検査を行い安全性の確保に努めています。

検体検査は実際にどのように行われているのか、血液検査を例に簡単にご紹介します。

血液検査の流れ(検査室がある大きな病院での例)

患者さんの血液(検体)を、採血管を用いて採取します。検査の目的に応じて異なる採血管を用いたり、前処理と呼ばれる遠心分離など行い血液成分を分離させ、検査がしやすいように準備します。

検査用の分析機器に前処理をした検体をセットします。分析機器には、あらかじめ検査薬がセットされています。

どんな検査をするのか、必要な情報を分析機器に入力すれば、自動的に検査が行われます。検査技師さんが効率的に検査できるように、今は多くの検査が自動で行えるようになっています。

検査結果は病院などの電子システムを通して、お医者さんに連絡されます。

お医者さんは、血液検査結果をもとに、他の検査・所見と併せて総合的に、患者さんに診断結果を説明します。

もっと見る

すべて見る

本ウェブサイトでは、幅広い利用者を対象とした製品情報を掲載しています。お住まいの国では利用できない製品、もしくは認可を受けていない製品の詳細情報が掲載されている場合もあります。それぞれの居住国における正当な法的手続や規制、登録、慣習法を満たしていない可能性のある情報の閲覧に関しては、当社は一切の責任を負いません。

お問い合わせ世界の拠点linkedinfacebooktwitterinstagramyoutube企業情報診断薬事業採用情報メディアプライバシーポリシー法律上の注意SNS利用規約インターネット上での当社機器取引および購入に関するお断り