現在70歳。俳優としてテレビや舞台で活躍するかたわら、現役のランナーとして数々のマラソン大会への出場経験を持つ奈良正明さん。奈良さんは2020年の年末、急性心筋梗塞を発症。手術と入院を経て、現在は元気な暮らしを取り戻しつつあります。そんな奈良さんに、発症の経緯や検査のこと、現在の心境などについて聞きました。

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深夜に突然の違和感と痛み。不安の中、急いで病院へ。

それは、12月も半ばを過ぎたある日の深夜2時頃のこと。眠っていた奈良さんは、不意に胃のみぞおちや胸の辺りに不調を感じ、目を覚まします。「針でチクチク刺されるような違和感がありました。胃薬を飲んだのですが、一向に収まる気配がありません。そのうち背中(左胸の後ろ側)にも、痺れと痛みが混じったような鈍い痛みを感じ始めました。」奈良さんは妻の甚子さんを起こして血圧を見てもらいます。「するといつもは上が130、下が90くらいなのに、そのときは上が90で下は50くらい。脈拍も通常70前後のところが40前後と、普段よりずっと低い数値が出たんです。」その間にも、痛みはますますつらくなっていきます。「これは異常だと思い、妻に助けてもらって、掛かりつけの病院の夜間診察に駆け込みました。」それまで大病を患ったことがなかった奈良さんは、人生で初めて経験するほどの不安を覚えたそうです。

 

心電図検査、血液検査、レントゲン検査などを経て、すぐに緊急手術が行われる。

奈良さんが病院に着くと、即座に当直医の先生による診察が行われました。「診察が始まってすぐ、先生から『奈良さん、これは入院が必要になるかもしれません』と言われたのを覚えています。」そこから心電図検査、血液検査、レントゲン検査、そしてPCR検査と矢継ぎ早に検査が行われました。「心電図検査の直後から、先生の話し方や周囲の動きが慌ただしく感じられ、やはりこれはただごとではないのかもしれないと思いました。」診察台の上で仰向けになっていた奈良さんは、身体の痛みで意識が薄れていたせいか、このときのことをはっきりとは覚えていないそうです。検査の結果、急性心筋梗塞の確定診断が下り、すぐに緊急手術を行う必要があることが、妻の甚子さんに告げられました。

 

自信があっても健康的な暮らしに努め、リスクを減らしてほしい。

奈良さんの手術は無事に終わりました。術後の経過を観察するため、入院中も繰り返し検査を受けたそうです。「その結果と私の状態を見て、主治医の先生が大丈夫と判断してくださり、退院することができました。」退院後の2月、今回手術を受けた部位とは別の心臓の部位に異変が見つかり、新たに手術を受けましたが、「それを乗り越えることができたのも12月の手術の経過観察のおかげ」と言う奈良さん。急性心筋梗塞になったことを、このように振り返ります。「それまで健康診断や人間ドッグの心電図検査でも、指摘を受けるようなことは一度もなかったんです。年齢相応に身体はくたびれているだろうとは思っていましたが、大病をするなんてまったく想像していませんでした。」日常的に体をよく動かし、喫煙をせず、大酒を飲むタイプでもないだけに、なぜ自分が生活習慣病と言われる心筋梗塞を患ったのか、今でも不思議だそうです。「とはいえ血圧がちょっと高いとか、悪玉コレステロールの数値が高いと言われることはあったので、少しずつ蓄積していたものが噴火してしまったのではないでしょうか。」東北出身の奈良さんは、塩辛い味付けのものが好きでしたが、今はなるべく塩分を控えるように心がけています。例えどんなに自信がある人でも、できるだけ健康的な暮らしに努め、心筋梗塞のリスクを減らしてほしいと奈良さんは語ります。

 

定期的に検査してもらえるから、不安のない生活が送れている。

現在リハビリテーションを続ける奈良さん。胸に秘めるのは、演劇活動とランニングを再開したいという思い。「私の出演したテレビ番組を看護師さんが見て、これからも俳優さんを続けてくださいと言ってくれたのが励みになりました。走ることも、ジョギング程度なら心配ないと言われています。」そのためにも、医師や管理栄養士に言われたことは素直に守り、体温や血圧、体重なども指示通りにセルフチェック。記録も入院時に渡された手帳にきちんと残しています。「チェック項目をちゃんとこなしてみなさんにほめていただけると、やる気になるんですよね。」また、月に一度の定期検査が安心につながっているそうです。「そこでは心電図検査や血液検査など、かなり詳しく検査してもらっています。血栓を起こさないよう、血液をサラサラに保つ薬をもらっているのですが、血液検査などで薬の効果が出ているかどうかがわかります。何々の数値が高いとか低いとかていねいに教えてくれて、ペーパーももらえるんです。そうやって定期的に細かく検査していただけるから、不安のない生活が送れていると思います。」今回のことで、自分が多くの人に支えられて生きていることを実感したという奈良さん。家族や医療に携わるみなさんへの感謝を忘れることなく、しっかりと治療を続けていきたいと話してくれました。

 


 


 

私の「受けてよかった」 〜病気を乗り越えた方へのインタビュー〜

奈良正明さん

大手都市銀行を定年退職後、俳優活動をスタート。多数のテレビや舞台に出演。過去10年で25回のフルマランソンの出場・完走経験を持つ。趣味は読書と音楽鑑賞。